フレデリカは日本映画ばっかり見ています<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。評判は一通り書いてからチェックしています。

かわいいあのコにプレゼント その3



これまでの流れ

その1(序章 リサーチ)

その2(生活の傍にある知らない世界 都こんぶ)


店内

 いつものように店の前に自転車を止め、ノレンをかき分けて引き戸を開ける。10数人いる常連の中で最初に気づいたGさんが手を振った。彼の隣に座って仕事中のU子ちゃんにボトルを頼む。オレはプレゼントを自分の脇に置いた。いつものようににぎわう店内。その中にひときわ大きな紙袋を二つ見つけた。片方にはSEIBUと書いてある。これはひょっとして.......オレのプレゼントは普通なのか?いや、むしろショボイ部類なのか!?

 店内では、いつものように他愛のない話に花が咲く。19億横領事件の犯人は極刑にすべきだ、横領罪でではなく愛人の数で極刑だ(男の嫉妬です)。結婚するのを安達裕美に先を越されるとは思わなかった。若槻千夏の本名は若槻千春若槻千夏にそっくりな若槻千春というAV女優がいるらしい。Zガンダムの映画の予告を見たが、変わってしまったフォウの声はあれはあれでOKかもしれない。などなど。

 やがて閉店時間になり、店のノレンと店頭の看板がしまわれた。U子ちゃんが座って、その前にチョコレートケーキがおかれる。そして誕生日の歌が歌われ、ローソクを消す。ケーキが切り分けられ、全員に振舞われる。U子ちゃんのケーキは特別にラム酒がこれでもか!というぐらい振りかけられる。そーいえばオレがここでお誕生日会をしてもらったときも目一杯ラム酒をかけられたっけなぁ。 プレゼントは日本酒、ジョークアイテム、タバコ1カートン、U子ちゃんが生まれた年に作られたワインとレパートリーに満ちた品が並んでいた。化粧ポーチを突っ返されたときの「俺が持ってたってしょうがないよ、どうしてもってんならお姉ちゃんか、妹さんにあげて」というセリフまで考えていた俺はなんだったのか。

 隣の人と話していたら目の前に俺の分とは違うケーキが置かれていた。さっき食べたケーキとはスポンジの色が明らかに違う。間違いなくラム酒をたっぷり吸い込んだケーキだ。

 「♪ヤンのいいとこみたーいーみたーいー」一気飲みのときのフレーズが店内に響く。おっけえ、まかせとけ!!ラム酒入りのケーキ......というよりはケーキの形をしたラム酒をたいらげる。U子ちゃんに「よくやった」とお褒めのお言葉をいただいた。

「そろそろ閉めるよー、自分の皿とグラスを洗い場に出してそこの居酒屋に移動してー」

 店長の一声に歓談していた人たちが一斉に立ち上がって洗い場に皿とグラスを運ぶ。一人はお手拭きでテーブルを拭く。他の一人は割り箸をゴミ箱に捨てる。各自、家ではこんなに機敏に動かないであろう。よく調教された常連達であった。



居酒屋

 ビルの二階にある居酒屋に着くころ、常連の女の子から連絡が入った。別の飲み会が新宿で今終わったから駆けつけるとのコト。時間は0:20。終電である。

 上機嫌で酔っ払ったU子ちゃんがオレの首元に光るシルバーのネックレスを引っ張った。

「何よ、これは。かっこつけちゃって~!そうだ、ヤンさん、改造してみようよ!メガネでしょ、髪の毛でしょ、それから.......」

 ちょっと待て。ヤン改造計画。この言葉を聴いたのはこの十年で三度目である。言われるごとに飛躍的なバージョンアップをしてきたつもりだった。特にメガネは前回の改造計画で友人達に選んでもらった品である。これでも足らないといわれるかオレわ。

 そんなバカなこと言いながら一時間。再び遅れている常連から連絡が入った。電車で寝過ごしてしまったらしい。タクシーでこっちに向かっているということだった。そういえばオレも津田沼まで寝過ごしたことがあったなぁ。3,690円のタクシー代は痛かったっけ。

 ボトル → ケーキの形をしたラム酒の一気食い → 鏡月ウーロン茶割り と飲んでいた俺に限界が来た。二年前ならこっそり戻して戦線に復帰したのだが、二年間で強くなったのか戻せない。仕方なく夜風に当たりに外に出た。店の外にはだらしなく寝ている酔っ払いがいた。”へっ、しょうがねえなぁ”と思いながらビルの外へ。

 火照った頬に冷たい風が当たるのが気持ちいい、はずだったが風は生ぬるかった。しばらくその場で休んでいると最後の常連さん到着。俺も一緒に居酒屋に戻った。席に戻るとプレゼントとは別にピンクのカーネーションが飾ってあった。ちょっとうれしかった。

 やがてU子ちゃんが酔ったのか言葉が少なくなり始めた。オレにも再び限界が来て外へ。店の前にぺたんと座る。”へっ、しょうがねえなあ”と思った酔っ払いと同じ格好になる。


 地べたに座って十分、もはや回復しないことを悟ったオレは帰ることを伝えるために店内へ。U子ちゃんはいなかった。察するべきであろう。俺は金だけ置いて店を出た。いとしの我が家は自転車で十分、地元で飲む特典の一つだ。

 同じく帰ることにしたらしいGさんが絡んでくる。「ごめん、余裕ない」と真顔で返事して帰路を急いだ。



あとがき

・リサーチ、新宿の化粧品フロアでのお買い物、飲み、となかなか面白い体験をさせてもらいました。とくに化粧品フロアはなかなかできない経験でした。ドキドキしたい人にはお勧めです。(変な汗をかくことができます)

・このネタで一番書きたかったのは「生活の傍にある知らない世界」です。オレが戸惑い迷う様をもうちょっと面白おかしく書けると思ったんだけどなぁ。

・アドバイスしてもらった女性達にマリークアントの化粧ポーチを送ったといったら、すごく納得されました。ユーメーなんですね、マリークアントって。

・現場にいた方々へ:真実味より笑い重視です。なので複数の方々の発言をGさんとしてまとめてあります。また、ヤンのアホさを強調するために、突っ込み言葉が鋭くなっている場合があります。意味の取り違えがなければ笑って流してやってくださいませ



後日談

このネタを書くためにピンクのカーネーション花言葉を調べました。

花言葉より

カ ーネーション(ピ ンク):熱愛


 自分で調べて大爆笑しました。笑笑でプレゼントとは別に飾ってくれたカーネーション。別に飾ってくれただけに店に忘れて来ちゃったろうなぁと思ってたらちゃんともって帰ってくれたそうです。-ただし、カーネーションを振り回しながら。(花が一個飛んでいったらしい。)

 オレの熱愛を振り回さないよーに(笑)

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