フレデリカは日本映画ばっかり見ています<ネタバレ>

内容を知っている方だけどうぞ。ネタバレで感想や評価を書いています。たまに批評・解説になっちゃっているところもあり。評判は一通り書いてからチェックしています。

かわいいあのコにプレゼント その2

かわいいあのコにプレゼント その1

http://d.hatena.ne.jp/yang_taylon/20051020


生活の傍にある知らない世界

 雨が上がった土曜日の二時過ぎ。オレは新宿でそびえ立つ丸井のビルを見上げた。そしてフロア案内を見てランコムとマリークアントの文字を探す。マリークアントしか見当たらないのでとりあえずマリークアントの入っている四階へ向かう。

 一階の貴金属売り場は女子半分、男子半分。二階の婦人服売り場は女子6割、男子4割。三階の女性用スーツ売り場は女子7割、男子3割。エスカレータに乗りながら俺の背中を冷たい汗が流れた。手のひらにもじわりと汗がにじみ始める。このまま行くと四階の化粧品売り場は.....オレは床に4と書かれたところでエスカレーターを降りた。そこは女子9割9分、男子2,3人の世界だった。単独男子はもちろんオレだけだ、血の気が引いた。顔はポーカーフェイスは崩さなかったつもりだったが、青ざめていたような気がする。

 マリークアントのブースを見つける。女性の店員と化粧してもらっている女性のお客さんにという女性だけの世界に足を踏み入れることができずに一度通り過ぎようとしたが、一度目で立ち止まれない場所は二度と立ち止まれないのは経験で分かっている。(初見のバーに入るときの経験則です。いつも化粧品売り場に出入りしていると思わないよーに)。俺は足を止めた。すでに背中は冷たい汗でびっしょりだった。

 ブースを囲むように作られた商品棚の中に化粧品が並ぶ。その中に化粧ポーチがあったので手に取った。口紅ならともかく化粧ポーチなら手にとってもおかしくないだろう。ちらっとあたりを見回すと目に見える範囲には全て女性しかいない。「俺以外は全て女性」。妄想の中では最上級に幸せな状況だが、現実だとこんなにきついものとは思わなかった。化粧ポーチを棚に戻して別の化粧ボーチを手に取る。ほー色々あるんだねーと言う顔をして1分、店員に化粧してもらっている女性を横目に見ながら3分、うろちょろして5分。

こら、店員。さっさとオレに用件を聞きに来い。これだけ分かりやすい異分子もそうはおるまい。それとも何か、イタイ人に見えているのか?しょうがないから自分で店員に声をかける。手の中の汗はマックスを越えて水気を失い始めていた。この時点で今日のことはネタになるなと考えていた。というよりも ネタになるということが精神安定剤になっていた。

 店員が商品を一つ手に持った。

「こちらは整理して入れられるんですよ。小さなポケットがたくさん付いていて、デザインもかわいいですし」

 ほー。

「ぱっと入れちゃう方ならポケットは邪魔だから、こちらのものがいいと思います」

 ふーん。

「あまり大きくないほうがよろしいのなら、コンパクトなこちらはいかがでしょうか」

 はぁ。

うん、まるきり分からない。「化粧道具を入れる」という機能を果たすのになんでこんなにいろいろな形があるのだ?こっちの縦長のポーチに入るようなものはそっちのポーチの長さじゃ入らないじゃないか。オレが理解できていないのと緊張していることは十二分すぎるほど店員に伝わっていたことであろう。♪女の中に男がひとり~♪の状態には慣れてきたつもりだが途中で始めた腕組を解くことができないのは俺がまだまだ緊張している証拠だ。

「お客様のお気持ちが一番だと思いますよ」

 どうやら諦められたようだ。

「お互いに異世界の人間だよね」と俺が言うと店員がクスリと笑った。一通り見て一番ココロに残ったモノを選んだ。店員がレジに行くのでついていってコンビニで買い物をしたときのように会計をしようとすると、いすに座って待っていろとのコト。いすに座ったオレの隣には店員を待つお化粧の途中の女性。なかなかシュールな画である。待っている間に別の店員にハンドクリームを進められる。なんでも昨日出たばっかりの限定品らしい。Bちゃんが女の子は限定品に弱いといっていたような気がする。お試しとして俺の手に塗ってくれた。女性の手にドキドキしたが効果は良く分からない。ちょっと高いしやめておくことにした。

 十月の頭に風邪を引いて思いっきり汗をかいたが、それ以上に汗をかいたマルイ4Fを降りた。丸井を出て見上げた青い空が美しい。


 マリークアントでは断ったものの、ハンドクリームは悪くはないなと思って地元に戻って近くのショッピングモールへ。薬局の中に併設されていた化粧品コーナーに目を移すと上のほうに資生堂とかカネボウとか書いてあるのに気づいてようやっと一つのことを思いつく。

-ひょっとしてランコムってお店があるんじゃなくて化粧品コーナーにランコムの商品が並んでいるってことだろうか。

 石丸電気のパソコンコーナーに富士通やらコンパックやらNECやらのパソコンが並んでいるようなものか? ふらっと化粧品コーナーに入ると今度は店員が話しかけてきた。俺はとりあえず聞いてみる。

ランコムって置いてあります?」

「うち、海外ブランドは取り扱ってないんですよー」

 オレの予想は当たっていたらしい。

「ところで口紅とグロスって何が違うの?」

 店員はリップクリームのような拳銃の弾丸の形をしたものを出してきた。

「こちらが口紅で....」

 その棚の下のほうにある絵の具のチューブみたいなのを手に取った。

「こちらがグロスです」

「よーするに固形が口紅で液状がグロス?」

「....まあ、そうですね」

 どうやら諦められたようだ。

 Bちゃんからもらった知識は次に何かあったときに使わせてもらうことにしよう。


 ショッピングモールをぼーっとしながら歩きながら今日のことをネタにするべく構成を考えていた。こう来て、ああ回して、一気に落とせば...。結構いい感じでできそうだ。俺はにやりと笑った。......そこは下着コーナーの前だった。オレは顔を戻してそそくさとショッピングモールを後にした。






都こんぶ

 その昔、プレゼントを買ったときに一緒に都こんぶを入れた。プレゼントと言う横文字文化に対して、「都こんぶ」という日本語っぽくて安価なところがシュールで面白いと思ったからだ。

 相手がプレゼントをあけて都こんぶを発見したときにぷっと笑った。そして一言「ありがとうございます!都こんぶおいしいですよね」。笑いを取るのだけ成功したのではなく、プレゼントとしても成功してしまったらしい。その後、ワンポイントとして都こんぶを入れることにした。ボケとして入れているのだが、一つ間違えると、本体のプレゼントよりも喜ばれることがあった。

 都こんぶを最後に使ったのは今年のホワイトデー。ちょっと高めのチョコをもらったのでコンビニで高そうなお菓子とともに都こんぶを入れておいた。当日彼女は忙しかったらしく不在だったので机の上においておいた。翌朝、彼女にあったときにお礼を言われた。「ありがとうございます。おいしかったですよ、都こんぶ」。高そうなお菓子よりも都こんぶのほうが彼女のココロをつかんだらしい。

 そんなわけで都こんぶを探しにショッピングモールの帰りにコンビニへ。雨に降られながらコンビニを5店まわっても見つからない。駅前のスーパーを3件回るも見つけることができなかった。仕方なく家路に着く。すぐ降り止むかと思っていた雨がまだまだ降り続くようだ。傘を買うためにampmへ。念のために都こんぶを探す。お菓子コーナーの最下段にひっそりと置いてあった。喜びいさんで都こんぶを持ってレジへ。ビニール傘を買い忘れるところだった。駅前の花屋でピンクのカーネーションを一輪買って一度帰宅。


 家に戻るといくつかの懸念点が湧き出た。

 プレゼントを持っていくのがオレだけだったらどうしよう。そしてドン引きされたら、いくらオレでも流れを引き戻すのは不可能だ。マリークアントの紙袋を見つめる。よく考えれば結構気合の入ったプレゼントだ。関係ないことだがプレゼントを買った帰りに、この紙袋をひじにぶら下げたまま、紀伊国屋で雑誌を立ち読みしたオレはすごいのかもしれない。

 照れ隠しとドン引きされたときのフォロー、それが都こんぶだ。プレゼントは心を込めて選んだ。プレゼントらしくするべく紙袋からひょこっと顔を出すような感じでピンクのカーネーションも入れた。そして引かれた時の保険に都コンブとハンドクリームも入れた。

 メインのプレゼントはモノとしてはミスチョイスしていない自信はあった。後はU子ちゃんの反応と、Gさんを始めとした他の人たちのプレゼントである。全員がコンビニのお菓子コーナーで買ってきたような品々だったら浮きまくってしまう。

 準備が全て整ったプレゼントを見た。後は出たとこ勝負だ、いけ!オレは紙袋を持つとドアを開けた。夜風にカーネーションが揺れた。






※”カーネーション”って文字の色をピンクにしたかったんだけど、カーネーションって文字がキーワードになっているからピンクにできなかった....._| ̄|○

かわいいあのコにプレゼント その3

http://d.hatena.ne.jp/yang_taylon/20051024

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